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泉美木蘭
2017.8.29 07:43

あきらめて満足?

「景気拡大『いざなぎ景気』にならぶ」
「大卒内定率84.2% 2社以上取得64%」
「世論調査『生活に満足』が過去最高74%」

今日の朝刊のなかに出てくる見出し。
フリーランスの私が稼ぎ方に失敗してるだけで、実は世間の人々は
すごく
景気良くて、仕事ありまくりで生活に満足してたのかしらー?

どこの飲食店もブティックもそんなに繁盛してないし、
知人が経営していたバーは10月でクローズすることになったし、
雑誌は100円グッズで家具を作る特集だし、
テレビは、激安食材を使って高級食品もどきを再現してみせるし、
旅番組は、徒歩か公共バスの乗り継ぎだし、
好景気の実感なんてどこにもないよ。

内定率は高いのかもしれないけど、
10年後には労働者人口が580万人も不足するような状態、
現実にはブラック企業がいっぱいだし、
非正規雇用が4割だし、
食べるために、養うために、まじめに働き続けて、気力潰されて。
働いても働いても貯蓄ができずに、「ガラスの地下室」に
閉じ込められた人もいっぱいいて、結婚もままならない。

これで「生活が満足」と感じるのは、
「劇的に良くなるわけもないし、これ以上の向上さえ望まず、
期待せずに、今日明日食べていけるだけ、まだ良いほうじゃないか」
というマインドで、現状に納得しようとしている人々の姿があるの
ではないかと思う。

東京新聞では「あきらめの表れ」という言葉が使われていたけど。
なんだか毎月恒例のセリフのように「ゆるやかな景気回復…」って
聞かされてきたから、どこが回復だよ、どうせ良くなりゃしないじゃ
ないか…って、希望も失せてしまうのかもしれない。

生活満足度の調査は、地下鉄サリン、阪神淡路大震災のあった1995年
にも72.7%と高い数値を出したらしい。
「平穏に暮らせるだけで万々歳」という感覚が調査に影響するという。
2017年の「平穏に暮らせるだけで」は、それとはちょっと種類が違って、
奴隷根性が馴染んでしまったもののように思えるけれど。
泉美木蘭

昭和52年、三重県生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、起業するもたちまち人生袋小路。紆余曲折あって物書きに。小説『会社ごっこ』(太田出版)『オンナ部』(バジリコ)『エム女の手帖』(幻冬舎)『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』(Echell-1)等。創作朗読「もくれん座」主宰『ヤマトタケル物語』『あわてんぼ!』『瓶の中の男』等。『小林よしのりライジング』にて社会時評『泉美木蘭のトンデモ見聞録』、幻冬舎Plusにて『オオカミ少女に気をつけろ!~欲望と世論とフェイクニュース』を連載中。東洋経済オンラインでも定期的に記事を執筆している。
TOKYO MX『モーニングCROSS』コメンテーター。
趣味は合気道とサルサ、ラテンDJ。

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